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健康診断における男女別腹囲、85cm、90cmについて

内臓脂肪のレベルを判断するために使われる腹囲

最近の体脂肪計のなかには内臓脂肪レベルを判定できるものがあります。ですが、現代の技術では脂肪の量を正確に測定できないため、表示される体脂肪率、基礎代謝量、内臓脂肪レベルなどはすべて推定に過ぎません。

家庭用体脂肪計が示す体脂肪率には8パーセントの誤差があるとする論文もあり、内臓脂肪レベルもあくまでも目安ととらえるべきでしょう。

内臓脂肪の量を正しく調べるには、腹部CTスキャン検査でおなかの断面を撮影する必要があります。

内臓脂肪は深いところにあるので、両手でつかめるといっても、つかんでいるのは内臓脂肪そのものではなく、内臓脂肪のせいで中からせり出してきた腹筋や、浅いところにある皮下脂肪をひっくるめた、おなか全体ということです。

では、この内臓脂肪がどのくらい広がったらまずいのでしょうか?

特定健診で見られる男性85センチ、女性90センチ

健康診断で測る腹囲の基準は男性が85センチ、女性が90センチです。これを見て、「女性に甘いんじゃないか」とぶつぶつ言う男性がいますが、もちろん、この数字には大きな意味があります。

健康診断で腹囲を測るようになったのは2008年のことです。この年の春から、40~74歳を対象とする特定健康診査・特定保健指導、略して特定健診が始まりました 別名「メタボ健診」です。

大変な労力と予算をかけて新しい健診を始めたのは、内臓脂肪の蓄積がメタボリックシンドロームの発症と関係することを示すデータが多数集まってきたからです

通常の健康診断と合わせてメタボリックシンドロームの予兆がないか調べ、必要に応じて生活習慣を改善するよう専門家が指導することで、生活習慣病全般の発症率を下げるのが目的でした。

この85センチと90センチという腹囲の基準値の根拠になったのが腹部CTスキャン検査の画像です、

腹囲の基準が男性85cm、女性90cmになった経緯

内臓脂肪が増えてメタボリックシンドロームになると、心筋梗塞をはじめとする心臓病の発症率が上がります。

そのため、まずは、おなかの断面の画像で、内臓脂肪の面積がどのくらいになったら心臓病の危険が高まるかを、全国の男性約l万人、女性約2400人の画像データをもとに解析しました。

すると、年齢や性別にかかわらず、腹部CTスキャン検査の画像で内臓脂肪の両積が約100平方センチ以上あると、心臓病の危険が大きくなることがわかりました。

こうして、画像上で内臓脂肪の面積が100平方センチまで、という基準ができましたが、健康診断の場でいちいち腹部CTスキャン検査を実施していたら、時間がどれだけあっても足りません。

お金も人手もかかりますし、毎年となると放射線被曝の問題も出てきます。農村部の住民健診では撮影装置がない地域もあるでしょう。そのため実際の健診では、簡易の検査として巻き尺で腹囲を測り、内臓脂肪の量を推測することになりました。

それで、おなかの断面の画像と腹囲の数値を付き合わせたところ、内臓脂肪の面積が画像上で約100平方センチになるのが、男性は腹囲85センチ、女性は90センチだったのです。腹囲の基準はこうして定められました。

ただし、身長が185センチを超える長身の男性は、この基準だと実際の内臓脂肪の量とのあいだにズレが生じるようです。そのため、この人たちには、腹囲と身長の比率を使う方法が提案されています。

腹囲が身長の半分以下なら問題ないとするもので、たとえば身長190センチの人なら腹囲95センチが目安になります。

皮下脂肪と内臓脂肪、男女別平均点はどのくらい?

では、ここで皮下脂肪と内臓脂肪の平均点を男女別に見てみましょう。

皮下脂肪は全身の皮膚の下に付くといっても、付きやすい場所と付きにくい場所があります。

洋ナシ型肥満の人はとくに腰と大ももに付きやすいです。多い順に腰と大もも、胸、肩と二の腕、前腕とふくらはぎ、手首と足首となっていて、体の中心から離れるにつれて少なくなります。

大人の平均は、この腕の後ろであれば、男性が0.6~0.8センチで女性が1.2センチくらい.太ももの表側なら、男性が0.6~O.9センチで女性は1.2~l.5センチというところです。

特別な機械がなくても、片手の親指と人差し指で皮下脂肪をきゅっとつまみ、もう一方の手で物差しを当てればだいたいわかります。ちょっと測ってみてください。

場所によっては皮下脂肪なのか、その下にある筋肉なのか、わかりにくいことがありますが、つまんだまま筋肉に力を入れて、手足を曲げ仲ばししたり、おなかをくばませたりすれば、つまんでいるのが脂肪か筋肉か区別できます

ちなみに、皮下脂肪を減らそうとしてダイエットすると、脂肪が付きにくい手首と足首、前腕とふくらはぎの順にやせていき、最後に腰と大ももの脂肪が落ちます。

そのため、たとえば二の腕の皮下脂肪を集中的に、というように、都合よく落とすことはできません

エステティックサロンの宣伝などで見かける「顔やせ」というのも難しいでしょうね。

皮下脂肪は女性の方が付きやすい

皮下脂肪が女性に付きやすいのは数多くの調査で確かめられています。男女合わせて約3400人を対象に、専用の機械で皮下脂肪の厚さを測定したところ、なんと生まれたての赤ちゃんの二の腕で、すでに女の子のほうが男の子より皮下脂肪が厚かったのです。

そして、二の腕だけでなく、肩甲骨の下の部分、腰の骨の上の部分、太ももの表側、太ももの裏側、ふくらはぎなど、ほぼすべての場所で、生涯を通じて女性のほうが男性より皮下脂肪が厚く、年齢を重ねるにつれてその差が広がることが判明しました。

では内臓脂肪は男性はかなりの人が腹囲の基準値を超えているのに対し、女性で基準値を超える人はめったにいません。

その根拠となるデータもあります。

人間ドックを受けた男女合わせてl万3700人について、腹囲の平均値を年代別に算出した調査報告によると、男性は年代にかかわらず約84センチでした

これでは男性の半数近くが基準値を上回ってもおかしくありません。

その一方で、女性は40歳の平均が76センチで、年齢を追うごとに数値が上がり、60歳で82センチになります。それでも80歳でようやく85センチですから、基準値である90センチを超える人が少ないのもうなずけます。

内臓脂肪は男性の方が付きやすい

メタボの診断基準で、腹囲のサイズが女性に対してゆるやかなのは理由があります。それは別ページでも書いたようにホルモンの違いです。

女性ホルモンは、脂肪を内臓脂肪より皮下脂肪として蓄積する働きをもっています。女性は赤ちゃんを産むので、外部の衝撃から身体を守るため、皮下脂肪がたまりやすくなるのです。

反対に男性は、皮下脂肪もある程度はつきますが、女性に比べて内臓脂肪がよりたまりやすいのです。

ですから、肥満に関係する生活習慣病にもかかりやすい傾向があります。外から見ただけではわからないものの、脂肪の中身が女性と違います。かといって、女性も決して安心できません。

女性ホルモンの分泌は、更年期になると減ってきます。その頃から男性同様、脂肪が内臓のほうにたまりやすくなるので注意が必要です。

健康にとっては良くない内臓脂肪ですが、メタボやその予備軍の方が食餌療法を開始すると、皮下脂肪はそれほど減っていないにもかかわらず、内臓脂肪はどんどん減っていきます。

皮下脂肪はなかなか落ちませんが、内臓脂肪は意外と落ちやすいのです。

ひとつの目安としては、体脂肪率が測れる体重計で変化を見てみてください。体重が減っていなくても、体脂肪率が下がっていれば、それなりに効果が出ていると思います。

市販の体重計で測定する体脂肪率は、医学的には正確と言えませんが、ダイエットをするモチベーションとして、参考にしてみてください。

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