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案外知られていない脂肪が果たす大事な役割

実は脂肪はエネルギー源としてとても優れている

最近は、女性だけでなく男性もスタイルを気にする人が増えています。

ときどきお腹を触っては、「この固まりを切り取って重さを調べたら何キロくらいあるだろう・・・?」と出るのはため息ばかり。

いえいえ、そんなに嫌わないでください。脂肪がなければ人は生きていけません。内臓脂肪を合め、脂肪は体内で大切な役割を果たしています。

生きていくためには三大栄養素が必要

まず、脂肪はすべて食べものがなくなったときに備えたエネルギーの貯蔵庫です。

生物が機能を維持するには多くの物質が必要で、そのうち自分で作れないものは口から摂取しなければなりません。

こういう成分を栄養素といいます。なかでも炭水化物、蛋白質、脂質の三つは、毎日一定量を摂る必要があることから、とくに三大栄養素と呼ばれています。(※ここにビタミン、ミネラルを加えて五大栄養素ということもあります。)

炭水化物、蛋白質、脂質は、それぞれ他のものにはない特徴を持っていますが、そのうち脂質がすぐれている点の一つがエネルギー効率のよさです。

炭水化物、蛋白質、脂質を1グラムずつ摂取した場合に、炭水化物と蛋白質から得られるエネルギーがそれぞれ4.1キロカロリーであるのに対し、脂質からは9.3キロカロリーも得られます。

同じ重さに2倍以上のエネルギーが入っているのです。言い換えると、エネルギーを脂肪としてたくわえれば、炭水化物、蛋白質の半分以下の量で、同じだけエネルギーを貯蔵できることになります。

脂肪は炭水化物と比べて極めてエネルギー効率が良い

脂肪だけでなく炭水化物もエネルギーをたくわえるのに使えます。ブドウ糖がたくさんつながったグソコーゲンという物質がそうで、筋肉や肝臓に貯蔵されています。

しかし、炭水化物は脂肪とくらべてエネルギー量が少ないだけでなく、もう1つ問題があります。

体の中で水と結びつく性質があるため、かさが増えるのです。これにより、同じ量のエネルギーをたくわえようと思うと、脂肪なら1グラムですむところが、炭水化物は約6グラム必要になります。

あまり重くなると体を動かすさまたげになりますから、炭水化物は大量にたくわえることができません。

実際に、筋肉や肝臓にたくわえられたグリコーゲンから得られるエネルギーは1日分にも満たないといわれています。

これに対して、脂肪は油なので水と結びつくことはなく、大量のエネルギーをコンパクトに貯蔵できます。

そのおかげで標準的な大人は、水さえ飲んでいれば、何も食べなくても体内の脂肪を使って数力月間生きていけると考えられています

脂肪は人間が生きていく上で必要不可欠

脂肪の役割はエネルギーの貯蔵だけではありません。脂肪は人が生きていくうえで重要な仕事をしています。

脂肪は全身のあらゆる細胞を一つ一つ包む膜の成分であるとともに、胆汁や副腎皮質ホルモン、性ホルモン、さらには血圧、血液の凝固、免疫機能などの調節をになう物質の原料でもあります。

脂肪は栄養素の吸収を補助する

さらに、脂肪は油に溶ける性質を持つビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどの吸収を助け、ビタミンDを体内で合成するのにも必要です。

ビタミンDは腸でのカルシウムの吸収を促して、骨に入ったカルシウムを逃がさないようにすることで骨を強くしています。

そのため実際に骨粗髪症の治療に使われていますが、骨粗髪症を予防するためなら適度に日光を浴びれば十分でしょう。

なんと、皮下脂肪には紫外線によってビタミンDに変わる物質が含まれており、日光浴をするだけでビタミンDを合成できるのです。(※ただし、これだけで十分とはいかないので、魚やキノコなどの食品からビタミンDの摂取を心がけることも大切です。)

脂肪は物理的な補助もする

この他に、皮下脂肪は全身を広くおおうことで、体を寒さから守って体温を一定に維持したり、体への衝撃をやわらげたりする働きがあります。

これに対して内臓脂肪は、内臓をあるべき場所に固定し、クッションとなって内臓を守っています。

おなかは巨大な空洞で、その中に、胃、腸、肝臓など、たくさんの臓器が存在します。

しかし、人は動物と違って直立しているため、重力によって臓器がずり落ちるおそれがあります。

それを防ぐために、それぞれの臓器は腸間膜をはじめとする膜と、じん帯でゆるやかに固定され、そのすきまを内臓脂肪が埋めることで、あまり動かないようになっているのです。

臓器の固定が不十分だと、胃下垂や、腸の一部が下がる腸下垂、腎臓が下がる遊走腎をはじめとする内臓下垂が起こります

高齢者や、やせ形の女性など内臓脂肪が少ない人に多く見られ、胃下垂で胃が骨盤にすっばりはまり込んだかと思えば、腎臓が10センチも下がるなど、内臓の位置が大きく変わってしまいます。

これでは、それぞれの臓器が本来の機能を十分果たせないだけでなく、骨盤の中で腸が圧迫されて便秘になったり、子宮と卵巣が圧迫されて生理不順が起きたり、排尿に問題が生じたりすることもあります。

物言わぬ脂肪がこんなに活躍してくれていたなんて、おなかの脂肪を優しくなでてあげたくなりますね。

付き過ぎた脂肪は病気を招く

このように、脂肪が体に付くのは決して悪いことではありません。脂肪は体の機能と健康を支えており、人生をのびのびと楽しむことができるのも脂肪が本来の役割を存分に果たせばこそです。

問題は付いている脂肪の量です。ほどほどであればよいのですが、蓄積と分解のバランスがくずれて蓄積にかたむくと肥満になります。

さて、脂肪というと、すき焼きで最初に鍋に油を敷く牛肉の脂のように、自っぽい固まりを想像しませんか?

しかし、実際のところ体に付いた脂肪はすべて、健康診断でおなじみの中性脂肪がたまったものなのです。

皮下脂肪の場合は、付けば付くほど体全体が丸みをおびるため、太ったことが一日でわかります。鏡に映るほっぺたとか、あどのあたりを見て、あれ、いつのまに?と思ったことがあるでしょう

脂肪の増加によって起きる体の不調

皮下脂肪が増えると見た目の変化だけでなく、全身の細い血管が圧迫されて血圧が上がり、心臓に負担がかかります。

また、首のまわりに脂肪が付けば、いびきや、寝ているあいだに呼吸が何度も止まる睡眠時無呼吸症候群を招きます

脂肪の固まりのせいで、のどがせまくなり、息が通りにくくなるからです。

さらに、脂肪によって体重が増えると、腰やひぎに大きな負担となります。とくに女性は男性とくらべて筋肉が弱く、骨密度が下がうやすいため、皮下脂肪が少し付くだけで背骨がつぶれて腰痛が起きることがあります。

内臓脂肪は質が問題となる

皮下脂肪の増加に伴う問題は基本的には、付いた脂肪の量が多くて重い固まりになるために起きています。

ところが内臓脂肪は違います。皮下脂肪と内臓脂肪は付く場所だけでなく、脂肪の「悪さ」が異なるのです。

脂肪細胞は、ただ集まって体にくっついているだけではありません。さまざまな物質を分泌して生体の機能を調節するという驚くべき別の顔を持っています。

脂肪細胞が作る物質は、わずかな量で生きものの体の働きに大きな影響を与えます。

こういう物質のことを医学用語で生理活性物質といい、おなじみのビタミンやミネラル、最近流行の酵素、アドレナリンやインスリン、男性ホルモン、女性ホルモンに加えて、脳の神経細胞のあいだで情報をやり取りする物質も生理活性物質の仲間です。

そして脂肪細胞が作る物質はこれまでに100種類以上確認されています。

このうち、おもに内臓脂肪が分泌するもののなかに、血圧を上げ、血糖値を上げ、動脈硬化を進行させ、血管の中で血を固まらせて脳梗塞や心筋梗塞を招く、悪い物質があるのです。

これとは反対に、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病の進行をおさえる良い物質も作っていますが、内臓脂肪が増えると悪い物質の合成が高まって、良い物質の合成が下がることが明らかになっています。

内臓脂肪の蓄積が生活習慣病を起こし、悪化を促すのはこのためです。その先に、悪名高いメタボリックシンドロームが待っています。

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