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内臓脂肪が悪い本当の理由

内臓脂肪が増加すると全身に悪影響をおよぼす訳

食べ過ぎや運動不足によって、体に脂肪が付き始めると何が起きるでしょうか?

皮下脂肪と内臓脂肪は、血液中の中性脂肪を次々に取り込む点は同じです。

しかし、たっぷり吸収して、「もうこれ以上は無理だ―」となってからの反応が違います。

皮下脂肪は細胞の数が増える

皮下脂肪は細胞分裂して数が増えます。そのため、皮下脂肪型肥満の人はもともと300億個だった脂肪細胞が400~600億個にもなるといわれています。

一度増えた脂肪細胞の数が減ることは基本的にありません。

約900人を対象に行われた厳密な実験では、体型にかかわらず、全身の脂肪細胞の数は20歳ごろまで増え続け、これを過ぎるとほぼ一定になることがわかりました

インターネット上の記事などで脂肪細胞の数は幼児期に決まると説明してあるのを見かけますが、そんなに早い時期には決まりません。

また、いったん脂肪細胞の数が増えてしまうと、いくらダイエットしてもリバウンドしやすいという説にも医学的な根拠はなく、たとえ数が減らなくても、たくわえられている中性脂肪の量を減らせば脂肪全体の体積は小さくなります。

リバウンドを繰り返す人は太りやすい生活習慣を続けてきたために、生活習慣の修正が難しいからと考えられます。

内臓脂肪は一個一個の細胞が大きくなる

さて、内臓脂肪は皮下脂肪と異なり、中性脂肪を大量に取り込むと1個1個の細胞が大きくなって、体積が最大で2倍を超えます。そのため20歳を過ぎて中年期にさしかかっても蓄積が進むのです

困ったことに、内臓脂肪の細胞は大きくなると悪玉物質を分泌する力が高まります。それと同時に善玉物質をあまう作らなくなるため、脂質、血圧、血糖の数値は悪化するばかり。こうなると手が付けられません。

内臓脂肪が危険なのは、付く場所の問題もあります.内臓をつり下げている腸間膜は薄い膜を2枚重ねた構造になっていて、2枚のあいだを血管が走り、内臓に酸素や栄養を届けたり、内臓で吸収した栄養を肝臓に運んだりしています。

腸間膜を持ち上げて光にすかすと、膜の中を走る血管がよく見えます

内臓脂肪が最初に付くのは2枚の膜のあいだ、ちょうど血管の通り道になっているところです

そのため、内臓脂肪が分泌する物質はすぐ血液に取り込まれて近くの臓器に直接流れ込み、そのあと血液の流れに乗って全身をめぐります

腸問膜を流れる血液が最初に注ぎ込むのが肝臓です。食事から時間がたって体のエネルギーが少なくなると、脂肪細胞に含まれる中性脂肪が分解されて、脂肪酸という物質になって血液の中に出て行きます。脂肪酸はいったん肝臓に運ばれて、そこから全身の細胞に移動して消費されます。

ところが内臓脂肪がたくさん付いていると中性脂肪が必要以上に分解され、大量の脂肪酸が作られます。脂肪酸はそのまま肝臓に入り、たまってしまって脂肪肝の原因になります。

メタポリックシンドロームの正体

この先にあるのがメタボリックシンドロームです。こんなカタカナの名前だと今ひとつピンと来ないかもしれませんが、内臓脂肪症候群といったらどうでしょう。こちらのほうが嫌な感じが伝わるような気がします。

メタボリックシンドロームの診断基準は「内臓脂肪の蓄積に加えて、脂質異常症、高血圧、高血糖のうち二つ以上あてはまる状態」です。しかも、健康診断の結果が経過観察であれば、すでに基準を満たしているのです。

メタボリックシンドロームの何が怖いかというと、自覚症状がないことです。おなかが痛いとか、頭がふらふらするとなれば、誰だって病院に駆け込むでしょう。それが痛くもかゆくもないとなると、がぜん、反応が鈍くなります。

しかし、病気は待ってくれません。メタボリックシンドロームの基準を満たす項目が増えるにつれて心臓病や脳卒中の危険が高まります。さて、どのくらい発症率が上がると思いますか?

肥満、脂質、血圧、血糖がすべて基準値以下の人が心筋梗塞を発症する確率を1として、これらの項目がいくつか引っかかる人の発症率が何倍になるか見ています。

すると、四つの項目のうち三つ以上引っかかる人は、心筋梗塞の危険が31倍も高くなるのです。とんでもない数字ですね

内臓脂肪が引き起こす動脈硬化

それにしても、内臓脂肪がおなかで増えると、どうして心臓病になるのでしょうか。

答えはズバリ、動脈硬化です。そして動脈硬化こそがメタボリックシンドロームの正体なのです。

動脈硬化の原因は悪玉コレステロール値が上がることだと思っている人が多いのですが、悪玉コレステロールが増えるだけでは動脈硬化はそれほど進みません。

おもに内臓脂肪が分泌する悪玉物質が、悪玉コレステロールを血管の壁にしみ込みやすくして動脈硬化を進行させているのです。また、内臓脂肪が中性脂肪を取り込んで大きくなると善玉物質の分泌が減り、これによっても動脈硬化が進みます。

動脈硬化になると血管の壁が厚くなり、そこに血の回まりがくっつくことで血液の通り道がせまくなります。こうして、ついに血管が詰まると、その先の組織に酸素や栄養を送ることができなくなって、組織が死んでしまいます。これが心臓の動脈で起きたのが心筋梗塞、脳を流れる動脈で起きたのが脳梗塞です。

内臓脂肪の蓄積をきっかけに、体にとって望ましくない反応がドミノ倒しのように広がることで、心筋梗塞が31倍起こりやすくなるのです。

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